2004年04月23日

●トンチンカンの頂点がファルスである

僕は好きな本を何度も読み返すクセがあって、
なかなか新しい本には手を出しません。

一番いいのは、5年ぐらい寝かせておいた本を
「おおっ、こんなこと書いてあったっけ」と思いながら読み返す時。

このパターンで何度も「すげえ」と感動して、
毎回やたら元気になってしまう作品が
坂口安吾の「FARCEについて」という短編です。

FARCEは、ここでは道化と訳されています。
以下一部引用します。

 ファルスとは、人間の全てを、全的に、
 一つ残さず肯定しようとするものである。
 およそ人間の現実に関する限りは、空想であれ、
 夢であれ、死であれ、怒りであれ、
 矛盾であれ、トンチンカンであれ、ムニャムニャであれ、
 何から何まで肯定しようとするものである。

 ファルスとは、否定をも肯定し、肯定をも肯定し、さらにまた肯定し、
 結局人間に関する限りの全てを
 永遠に永劫に永久に肯定肯定肯定して止むまいとするものである。

この文章が僕は大好きなのです。
内容もそうなのですが、読んでいる時の疾走感がたまらない。
日頃から「スピード感のある文を書きたい」と思っている自分にとっては、
これは、まさに目標のひとつ。

この作品は芸術評論のエッセイになっているのだけど、
ほとんど爆笑しながら読みました。

この短編の最後はこんな感じ。

 肩が凝らないだけでも、なかなかどうして、たいしたものだと思うのです。Peste!

なんとなくハイな感じでクスリの気配がするのですが、
安吾がこれを書いたのは26歳の時。
彼がヒロポンを常用して中毒になるのは40代になってからのことです。

<参考までに>
「FARCEについては」色々な短編集に収録されているようです。
僕の手元にあるのは、集英社文庫の「堕落論」ですけど、
他の本にも載っていると思いますよ。

Posted by tekigi1969 at 2004年04月23日 16:38
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