2006年12月10日

●移動するひと

アパートで一人暮らしをしていたとき、隣の部屋の人が転勤になり、空部屋になりました。引越しでしばらくバタバタ。それが終わってモノがなくなると、クリーニングの業者さんがワンボックスカーに乗ってやってきた。部屋をきれいにして次の入居者に備える。そのクルマに乗っていたのは、4人。業者さんとその奥さん、小学生くらいの子ども2人。家族でやってるお店なのかしらん。すぐ隣だからなんとなく、やっていることがわかる。子どもたちは掃き掃除やぞうきんがけ。お父さんが薬品をつかって壁をきれいにする。お母さんはそのサポート。子どものきゃっきゃする楽しそうな声が聞こえるから、なんだか日曜大工みたいな雰囲気。

夜になってもワンボックスカーは去らない。通りすがりに窓からみえた。家族そろって、その部屋でお弁当を食べていました。カーテンがないから外から丸見え。でも気にする風でもない。きれいにクリーニングされた部屋のなかで、シートを敷いて、その上で食べている。ピクニックみたい。寝袋が置いてある。泊まるのかと驚きました。結局、その人たちは数日そこにいたと思う。最後に不動産屋さんのチェックを受けたあと、帰っていった。もしかしたら、次の現場に行っただけかもしれない。どうなんだろう。でも、なんかそんな気がしました。

大学時代にサーカス団のテント設営のアルバイトをしたことがあります。サーカスの人たちは1ヶ月くらいの公演のために、テント横にコンテナハウスを建てる。水道も引くし、電気・ガスもつかえるようにする。楽屋兼住居。団員の子どもたちはそこから近い学校に通う。僕がバイトしているあいだ、大人たちの主な話題は「子どもの転校問題」「近くのスーパーの価格」とかでした。

その時の公演のメインの出し物はライガー。ライオンとトラの交配動物だったと思う。その調教師だけは、ちかくのビジネスホテルから通ってくる。「やっぱりメインの人は扱いがいいんですか」と聞いたら、「ホワイトタイガー(白いトラ)の調教師はちゃんとしたホテルじゃないとダメという契約だったから、ライガーは庶民的で助かった」との答え。でも、トレーラーに乗って登場したライガーはかなり地味な風貌でほとんど動かない。華がない印象。「ハイエナみたいだ」「これでお客集まるのかな」とみな不安げでした。僕も同感。単なる設営バイトなのに、一緒に不安になったぐらい。でも調教師はカタコトの日本語で陽気に振る舞う。彼はあの生き物を連れ、いまも世界中を駆け巡っているんだろうか。こういう生き方ってすごくタフだなと思う反面、なんとなく、憧れる。もしかしたら、とどまっているというのは幻で、本当はみんな同じように移動しているのかもなあ、とも思います。

Posted by tekigi1969 at 2006年12月10日 10:40
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コメント

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Posted by payday loans with debit card at 2013年11月08日 18:20
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