2008年06月08日

●ダライラマインタビューを読んだ

1、イギリスのファイナンシャル・タイムスのダライラマ独占インタビューがすごくおもしろかったので、思ったことを書いてみます。英文は→こちら。日本語訳は、インドのダラムサラ(チベット亡命政府のあるところ)で活動する難民救済NGOルンタ・プロジェクトの一員の方のBLOGにありました。→前編後編。とくに、後編で語られている情勢分析はすごいと思う。佐藤優さんのいう”インテリジェンス”みたい。

2、ここでダライラマが語っていることを、ぼくなりの理解でおりゃあとカンタンに図式化しちゃうと、こういうことじゃないだろか。「自分たちが求めているのは独立ではない。中国政府が憲法で定義している”少数民族の権利””自治権”の実現にすぎない」→「現時点ではそれが達成されていない。それは世界から批判を受ける中国にとっても不幸ではないか」→「しかし状況は好転せず、何度も暴動が起きてしまった」→「交渉が進展しないことで、わたしの影響力は低下している。わたしは暴動を望まないが、今後はその拡大を止められないかもしれない」→「わたしを暴動の先導者と呼ぶことで中国は得をしない。むしろ、具体的な交渉を進めるメリットが増してきているはずだ」というような論理。単なる被害者として「わたしたちはひどい目に遭っています。みなさん助けてください」じゃなくって、かといって、相手を一方的に中傷するでもなく、譲歩でもなく、冷静に情勢分析をして、交渉を要求する感じ。こういう場面のインタビューで、亡命政府首脳がこんな風に話すのはそうはないんじゃないかと思う。

3、もちろん、政治家として、カンタンには譲らない一線はあるっぽい。”チベット”のエリアは考えようによっては中国全土の4分の1に及んでしまうらしい。そこまでは求めていないと明言してもよさそうなんだけど、このあたりについては「民族としてのチベット人ぜんいんの自治が必要だ」という言い方にとどめている印象がある。この辺はカンタンに引き下がれない事情やら心情があるのかもしれないし、もしかしたら、交渉術なのかもしれない。ぼくにはちょっと判断つかない。

4、もうひとつおもしろかったのは、ダライラマのジョークとも独自の話術ともとれるようなきわどい発言。1989年のチベット暴動を強行に封殺した胡錦濤主席の「調和ある社会の推進」という言葉を、わざわざ引用して、全面的に賛成するといってみせる。それだけでなく、天安門の壁に書かれている毛沢東肖像画横の文句「世界人民大団結万歳」まで引用して、それを実現しようといっちゃう。ちなみに毛沢東さんってのは、チベットの解放を訴えて、武力制圧した張本人だとされています。このへんは、世界で彼だけにいえるちょうブラックなジョークじゃないかしらん。

5、ダライラマは、中国政府も自分と同じように考えているのではないかと推測している。5月4日におこなれた両者の緊急会合は、中国政府が事前にそのことを公式発表。これはかなり異例なことで、しかも、その発表前に中国の外務大臣が複数国の大使に通達をおこない、胡錦濤国家主席自身もこのことを認識していた。これはそれまで「独立を画策するダライ一派の首謀者」と呼んでいた彼を、もういちど交渉相手として認めた証拠っぽい。そのほうが得策だ、と判断したのではないかというわけです。

6、となると、ちょっと前にこのBLOGに書いた、例の「洞爺湖サミットでダライ・ラマ14世と胡錦濤主席の対話を実現させよう」という署名は、実現性の高さは分からないけど、やっぱし、けっこうイイ線をいっているのかもしれない。署名するしないは個人の判断だけど、単純に動きがあることを知っているひととか、おもしろいじゃんとおもうひとが、おおくなったら、もしかしたら、もしかするんじゃないかなあ。てか、もしかしたらいいなあ。

Posted by tekigi1969 at 2008年06月08日 21:13
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