2008年09月15日

●2008年と1979年の縁日

1、日曜の浦賀は叶神社のお祭でした。漁港でやる鴨居神社とはちがって、こちらは造船所(いまは廃墟になってる)を中心とした町のお祭をルーツとしているので、けっこう大規模。神輿行列をみにいこうかと奥さんと準備をしていたら、例によってご近所小3Hくんが「あそぼ」と登場。一緒に行くことになりました。いったん家に戻って、この日に備えて貯めていたおこづかいをもらったHくんとともに、渡し舟に乗って西浦賀へGO。彼の目的はもちろん縁日の屋台。

2、ぼくにとっての”祭”の原風景は、商店街の七夕祭。実家のパン屋が軒を並べていた町内では、毎年7月にやっていた。屋台がずらっと並んで、商店街のお店もこの日だけは夜9時まで灯りをともして営業をする。我が家も店の前に机を出して、パンを袋に詰めたものとか、お菓子とかを売っていた。昼には子ども神輿もあったんだけど、30年くらい前のぼくにとっても、やっぱりメインは屋台。お好み焼きを小さくしただけの「大阪焼」ってのが、なんでかすごい人気だった。

3、神輿もほどほどに、Hくんの屋台めぐりにひきずられる。西叶神社の縁日。2008年になってもただよってくるモノは変わらない。小麦粉の焼ける匂いとイカとトウモロコシの焦げる匂い。でも、景品は様変わり。目立つ場所に並んでいるのは、DS、なにかのカード、エアガンなど。これがいまの小3魂をそそるあれこれなんだなあ。方式はクジだったり、おもちゃのキンギョみたいなのをすくったり、射的だったり、スマートボール(かなり年季の入った渋い筐体でした!)だったり、いろいろ。やり方はほとんど進化しないものみたい。Hくん、料金をみて、屋台ごとの景品を見比べて、けっこう慎重に吟味。

4、ぼくが彼と同じ年か、もう1,2コ上だったときに、自分で屋台を出したことがある。たぶん1979年前後のこと。誰のアイデアだったのか分からないけど、「読み終わった本をここで売れば儲かるじゃん」と思ったのだ。それで、隣の家の呉服屋さんの女の子を誘って、二人で、お店のあいだにゴザ敷いて、本を並べて、座った。すごく売れるはずだった。

5、あれこれ見てまわるHくん。ひそひそ声で、ぼくに耳打ちをする。射的をみて「あれは後ろにテープがあるよ」クジをみて「こういうのはアタリが入ってないんだ」金魚すくいをみて「ここよりも、あっちの店のほうがたくさん釣れる。でも持って帰っても死なせちゃうからやめとく」なあんだ。分かってるんだ。でも、あれこれ言いつつも、結局やってしまう。射的の残念賞はうまい棒。「300円のうまい棒になっちゃったな」 「うん」悔しそうだけど、泣き言は言わない。さすが男の子。

6、パン屋息子と呉服屋娘の小学生古本屋には、けっこうお客さんが来てくれた。でも、そこで思いも寄らないことが起こった。「いくら?」と質問されるのだ。「裏に書いてあるじゃん」と思うんだけど、そうではないらしい。割引にしないといけないみたい。隣でパンを売っている父親に助けを求めても、それは安くしないとダメだろうという。母親はなんでか笑ってる。おっかなびっくり定価で押し切ったら、みんな帰ってしまった。

7、Hくんの二軒目トライはクジ引き。DSのソフトが飾ってあるから、それを狙っている模様。一回300円だけど、500円出せば2回できて、外れてもわりに豪華な景品がもらえる。外れの景品をじーっと見ていたんだけど、考えた末に出したのは1回分。この辺の思考の流れについては、ギャンブルをやる大人とほとんど変わらない気がするな。失敗するのも、社会勉強なのだ、とあえてアドバイスはしないで傍観。

8、これじゃあ売れない。1979年のぼくは、そう気づいて、交渉に応じることにした。あっという間に定価の5分の1くらいになる、ぼくの本。しまいには「ここが汚れてるからもっと安くしないと買わないよ」なんてことまでいわれる。本はどんどん減っていくのに、ちっともお金は増えていかない。そんなことはまったく想定していなかったぼくは思い切り凹んでしまった。あのときも、まわりの大人は誰も助けてはくれなかった。

9、そんなようなことを思い出しながら、綿菓子屋のおばさんに頼んで、作り方を見せてもらった。「こんな少しのザラメでできてるのよ」「すげえ」とHくん、びっくりしてる。「あの機械が家にあったらいいのに」「そんなに綿菓子毎日食うわけないじゃん」「でも欲しいなあ」とかなんとか。「ああいうのは当たらないよなあ」「うん、当たらないね」「去年もそう思ったんじゃないの」「ううん。今年、初めて分かった」「そうか。じゃあ来年はもうやらないんだ」「やる。もっとたくさんこづかい持ってくる」「わはは。たくさんこづかいあったら、買ったほうが早いじゃん」「それでもいい。やる」「懲りない阿呆がここにいますよー」「それでもやるもん」

10、最後に残った100円玉1枚をもって、なかなか帰ろうとせずに屋台とおりをグルグルまわる彼が、ちょっとうらやましくて、100円でやれるゲームなんてゼッタイにないんだけど、ナットクするまで付き合いました。何度も同じ場所を通り過ぎるたび、スマートボール屋のおばちゃんと目があった。「やってるねえ」てな目で、笑ってた。30年前のぼくも、あんな目で見られていたんだろうな。

Posted by tekigi1969 at 2008年09月15日 17:43
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