2009年05月07日

●今夜の夕ごはんはちょっと遅い

1、ぼくの住んでいるのは漁港近くの谷戸です。
  朝日が昇る時間には、もう誰かが働いている。
  夕方5時に「夕焼け小焼け」が流れると
  あちこちから雨戸をしめる音がして、
  6時過ぎにはいい匂いがただよってくる。

2、でも、今夜はうちだけでなく
  ご近所みんなの夕食がちょっと遅くなるはず。
  お通夜があるのです。

3、先月、ある漁師さんが船から落ちてしまった。
  漁から戻って、他の船員さんが気づいたときには
  姿がなかったのだと聞きました。
  それから1週間以上、
  漁港のひとたちは仕事そっちのけで探していた。
  最後の追い込みの季節になっているはずの
  アラメもワカメもあんまり干してなかった。

4、5月1日の朝、漁港にゴミ出しにいったら
  いつもと少し様子が違っていた。
  電話をしている声がする。いつも挨拶をする漁師さんが走っている。
  もしかしてと思ったら、
  午後になって、離れた岬で遺体が揚がったと聞きました。

5、おそらく生きてはいないだろう
  と客観的に判断できるくらい日数が経過しても、
  ギリギリまで遺体や遺品を探さずにはいられない。
  こういうのは、日本特有の感覚だと聞いたことがある。

6、とにかく見つかってよかった、というのは、
  たぶん理屈や効率を超えた「よかった」なのだ。
  でも、ぼくもそう思ったし、
  たぶん漁港のひとたちはもっと強く、深くそう感じたと思う。
  めったに起きない事故だと聞いたけど、
  でも、起きるときは起きる。
  こういう思いをするのは、彼らはきっと初めてではない。

7、亡くなった漁師さんが住んでいたのは他の町だそうです。
  でも、乗っておられた船が所属する漁港なのだから
  うちも谷戸の一員として、奥さんに行ってもらうことにしました。
  どうぞ安らかにお眠りください。
  夕ご飯なんて、ちょっとガマンすればぼくはまだ食べられるのだ。

Posted by tekigi1969 at 2009年05月07日 16:39
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