2010年11月26日

●「電子書籍を出してみたよ」はこうやって出したよ4

「電子書籍を出してみたよ」はこうやって出したよ3のつづき。

1、電書フリマの会場では、「ライターの古田靖」と名乗るよりも「カナカナ書房のなかのひと」「眼鏡のアイコンのtekigi」といった方が「ああ!」といってもらえるようでした。こっちでぼくを知ってくださった読者さんが、以前出した著作を買ってくださるということも増えてきた。キンドル本も電書も、作業量に見合う売り上げにはまだほど遠かったけれど、それがぼくという書き手の存在を知ってもらうきっかけになっているらしい。

2、だったら、日本語でもっと書こう。そう思っていたところにパブーというサービスがあることを知りました。ここならBLOGを更新する感覚で書けちゃうし、自動的にEPUBとPDFに変換することもできる。それで書いたのが「小麦粉発酵ベーグル指南書」という電子書籍です。最初は完成したら有料にするつもりでしたが、あれこれ考えてやめました。ちょっと前に流行った、フリーなんちゃら、ってヤツを試してみたかったのです。この本がきっかけでカナカナ書房とぼくのことに興味を持ってくれたら、それでOK。儲かったわっしょい、とする。いわば試供品です。ほとんどひとりで作った本だから、失敗したって、誰にも文句はいわれない。この辺を独断で決められるってのも、インディーレーベルのちょう身軽なところだな、と思いました。

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 ↑表紙は友だちのMさんが描いてくれました

3、ラインナップが増えてきたことで少しずつレーベルっぽさもでてきました。twitter経由で知り合った福岡の映像作家石川亮介さんがPVをつくってくださったのもこの頃です。

 

4、そんなことを続けていたある日、飲み会の席で一度お会いしたことのあるデザイナーOさんからメールが来ました。彼女がときどき仕事をしているwebコンテンツ会社さんが電子書籍の配信をはじめたがっているというのです。仕事になるかは分からないのだけど、紹介してもいいかとのことでした。ぼくに異存のあろうはずがありません。ともかく会いましょうと新橋のルノワールにいきました。

   
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 紙の本もつくっております。
 いまのところ、仕事としてはこっちが「本業」です。

Posted by tekigi1969 at 16:08 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2010年11月24日

●「電子書籍を出してみたよ」はこうやって出したよ3

「電子書籍を出してみたよ」はこうやって出したよ2のつづき。

1、茶亭・羽當で、iPhoneに表示させた「キンドルで本、出してみたよ」を読んでみました。解像度のせいか、高輝度LEDのおかげか、思ったよりもきれいです。すげえ見やすい。ケータイの液晶画面=目が疲れるという先入観はどうやら杞憂だったみたい。でも、読み進めてみるとやっぱりちょっと読みづらいところがある。とくに全体が文字だけで埋め尽くされているページがあると、「ウッ」と思います。

2、ぼくは「一気にスイスイ読めちゃう文章」に個人的にこだわりがあります。目標は日本語最速の文章書き。そこで、iPhone画面1ページに表示できる最大文字数を数え、本文ちゅうの全ブロックが必ずその文字数以下になるよう書き直すことに決めました。そうすれば、ウッとなるページは消滅します。また、漢字とひらがなのバランスも工夫することにしました。電書フリマに来るようなひとはwebでの文章を読み慣れているひとだろうから、ひらがなにすることの多い雑誌やムック特有の文章はむしろ読みにくいかなと思ったのです。その他にも、いくつかアイデアを思いついたんだけど、今後の武器になるかもしれないので、これ以上は企業秘密。表紙はYくんが手作りしてくれました。

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 ↑
 加工したぼくの写真を表示させたキンドルと
 紙に手書きしたタイトルをデジカメで撮影した表紙

3、7月17日、渋谷のコラボカフェでおこなわれた電書フリマは大盛況でした。参加作品は64で、総売上数5206冊!それほど広くないスペースでこれだけの作品数、売上になったのは「電書」ならではだと思います。おそらくそれだけの書籍はこの場に置くことすらできなかったんじゃないでしょうか。「電書」という単語が飛び交うなかにいると、世間でいろいろ議論されている「電子書籍」とやらが、遠い世界のどうでもいいことのような気がしてきました。なにやらクラブとかライブハウスみたいな雰囲気だなあ、と思ったのも印象に残っています。「カッコいい若者が集まる場所はカッコいい」とぼくは勝手に信じているので、これはきっとカッコいいことになるぞと思ったのでした。

4、あまりの混雑にコラボカフェを退散。フリマで知り合ったひと、twitterを見て遊びに来てくれたひとたちとスタバとか青山のAtoZカフェとかで話をして過ごしました。この日の電書フリマがなんだったのか。上手い表現が見つからないんだけど、とにかく「祭」の一種だったと思います。その場にいても、近所をウロウロしていても、ぼくは一日中なんだか浮き足立ったような気分を感じていました。この熱気は、集まった方々の「電子書籍には何かあるぞ」という潜在的な思いから発していたものだったのかもしれません。

5、この日『キンドルで本、出してみたよ』は135冊売れました。びっくりです。なんだ、電子書籍ぜんぜん売れるじゃん。あ、電書だけど。もちろん、この場所は特殊な空間です。でも、売れた。すごくおもしろい作品、ひとたちにも出会えた。この体験はすごく大きな励みになりました。

(続きます)

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 iPhone/iPadアプリ「電子書籍を出してみたよ」
 AppStore商品リンク→こちら

 

Posted by tekigi1969 at 16:04 | Comments [4] | Trackbacks [0]

2010年11月22日

●「電子書籍を出してみたよ」はこうやって出したよ2

「電子書籍を出してみたよ」はこうやって出したよ1のつづき。

1、電書フリマ用の原稿は1週間ほどで完成しました。書きあがったモノをベースに、取り扱い説明書などの文章校正の仕事をしている電書部Tさん、YくんとSKYPEでやり取りをしながら、細部を詰めていきます。Tさんは、ぼくの書く文章に登場する数字が半角、全角交じりになっていることを不思議がっていました。それは、電書「キンドルで本、出してみたよ」が日本語だけど、横組みだったからです。横組みというのは、英語のように文字が横に並ぶ組版のこと。この場合、数字や英語は基本的にすべて半角にすればいい。ところが、ぼくがライターの仕事で日常的に書いている文章はほとんどが縦組みです。この場合、2桁のアラビア数字だけが半角で、あとは全角にすることが多いのですよ。考えてみると、取り扱い説明書やwebの文章はほとんど横組みだから、たぶん、あんまり知られていないんですね。これは意外な発見でした。

2、電書部には技術班という方たちがいて、変換はそこでやっていただける仕組みになっています。ぼくはテキストと画像データだけ渡せばいい。すると担当の方がタグを貼り、技術班がPDFとEPUBに変換してくれるのです。この二つの形式さえあれば、とりあえずパソコン、iPhone、iPad、kindleで読むことができる。この辺を任せちゃえるってのは、ちょうラクチンです。もちろんさまざまな形式の本をがんがん変換していくシステムだから、レイアウト上の制約はありました。でも、ぼくはもともと雑誌でも「デザイン先割り」(写真の位置や大きさ、文章の配置、キャプションの位置などがすべて先に決まっていて、あとで文字をぴったり当てはめるやり方)の仕事が得意なので、とくに気になりませんでした。それより気になったのは、液晶画面のことです。

3、電書フリマに来られるお客さんの多くは、たぶんこの電書をiPhoneで読むだろうと思いました。次にパソコン、iPad。キンドルはまだまだ少数派。iPhoneはすごく高性能で素晴らしいデバイスだとは聞いていましたが、あれは電子ペーパーではなく、目に光が直接あたる液晶画面です。ぼくはパソコンでさえ、長い文章を読んでいると目が疲れたり、頭に入ってこなくなることがあります。あの大きさ、液晶画面で、約3万字(改行や空白は含まないので、新書一冊の半分強くらいかな)の本を本当に読み通せるんだろうか。auユーザーのぼくには、それが分からない。正直いって、自信がない。

4、Tさん、Yくんは「ぜんぜん読めますよ」といってくれたんだけど、彼らは20代のケータイ世代。しかもいち早くスマートフォンを手にするくらいITにも適応しているとんがった若者なのです。それが一般的な感覚なのか、イマイチ信用できません。というわけで、41歳のおっさんなりに納得するため、渋谷の茶亭・羽當にiPhoneを持ってきてもらって、打ち合わせをしました。

(続きます)

(告知) この後日談をベースにした
「あとがき2.0」的なアレを
アプリ「電子書籍を出してみたよ」アップデート時に追加することにしました。
お楽しみに!

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 iPhone/iPadアプリ「電子書籍を出してみたよ」
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Posted by tekigi1969 at 14:38 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2010年11月21日

●「電子書籍を出してみたよ」はこうやって出したよ1

1、13日に発売したカナカナ書房初のiPhone/iPadアプリ
 「電子書籍を出してみたよ」ですが、
  現在なんとAppStoreブックカテゴリ5位になってます。
  びっくりです。ありがとうございます。
  せっかくのチャンスなので、もっと上を目指したいところです。

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2、このアプリでは
  “kanji crossing”を出した経緯について書いています。
  その後、なにをしていたのか。どうしてiPhoneアプリが出たのか。
  そういえばまとめていなかったので、書いてみます。
  後日談、というかけっこう現在進行形の話です。

3、“kanji crossing”を出したのは今年の5月。「電子書籍を出してみたよ」を読んだ方は実数をご存知でしょうが、あれはちょっとずつしか売れていません。ほんのちょっとです。それでも在庫を抱える倉庫があるわけじゃないので維持費はいりません。制作費もちょっぴりなので、紙の本よりも、どっしり構えることが可能です。もしかしたら、amazon.comで買い物ができる世界100カ国のどこかにこの本がブレイクする安住の地があるかもしれない。それで、ちまちまとtwitterで英語でつぶやいてみたり、少しでも売れるように、facebook(海外で人気のあるSNS)にファンページをつくったり、1日500円ずつweb広告を出してみたり、ということをやっていました。

4、「電書フリマ」について聞いたのは、そんなころでした。ゲームクリエーターの米光一成さんがやっておられる電書部(電子書籍部)が主体となり、電子書籍をあえて対面販売しちゃおうというイベントです。電書とカジュアルに呼ぶのもミソで、7月に予定されていました。“kanji crossing”のとき、唯一キンドル端末を持っていたYくんが彼らと交流があり、「出しましょうよ」と誘ってくれて、電書部メーリングリストに参加。オンラインで買うことが当たり前のように論じられている電子書籍を、あえてわざわざ出かけていって売る・買う。このみょうな取り組みがどういうことになるのか、ちょっとおもしろそうだぞと思ったのです。

5、参加してから、気づきました。フリマに出せるコンテンツがない。“kanji crossing”は海外向けの内容だから、日本人が読んでもちっともおもしろくないでしょう。ぼくがいままでに出した紙の著書を持ってくる手もあるけれど、まだどれも絶版ではないから、出版社さんとの交渉・契約が必要になる。一日限りのフリマのためにそこまでするのは、ちょっと面倒です。

6、じゃあ書いちゃえ。このBLOGの記事を基に「キンドルで本、出してみたよ」を1週間ほどでまとめることにしました。最初は技術的なことにもきっちり触れて、実用的につかえるようにしようかと思っていたんです。でも、やめました。そういう入門書っぽいつくりは、ぼくがこれまで仕事でつくってきた紙の本と同じになっちゃうからです。せっかく好きなようにやれる機会なんだから、「本ってこういう風だ」という感覚をあえて排除して、さらっと楽しんで読めるような本にしようと決めました。その代わり、徹底的にスピーディに読めるようにする。この一点にこだわることにしました。それなりの文章量を液晶画面でストレスなく読み通せるようにする。自分なりに文体や構成を工夫し、脚色のない青春小説のようなドキュメントのような何だかよく分からないモノを目指してみました。自分のことだから、取材はいりません。

(たぶん続きます)



Posted by tekigi1969 at 07:58 | Comments [7] | Trackbacks [0]

2010年11月15日

●iPhone/iPadアプリ出しました

1、iPhone/iPadアプリ
 「電子書籍を出してみたよ」を発売しました。
  いまなら発売記念キャンペーンで半額の115円です。
  iPhone、iPadユーザーの方、よろしくお願いします。→こちら

2、このBLOGに書いた電子書籍関連記事をまとめて
  電書フリマで限定販売した「キンドルで本、出してみたよ」を改訂・改題したものです。
    表紙はこんな風↓です。
  ともだちのfronさんが描いてくれました。
  制作・発売元は株式会社ラクティブさん。
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3、もし気に入っていただけたら
  レビュー・評価なんかもしていただければ幸いです。

4、Phone、iPad、どっちも持っていないぼくは
  じつはこれをまだ買えない・読めないのは、ナイショです。

Posted by tekigi1969 at 18:12 | Comments [4] | Trackbacks [0]