2011年10月08日

●「第1回湘南電書鼎談」出ました!

昨日に引き続きカナカナ書房9月の新刊のご紹介。

2冊目は「第1回湘南電書鼎談」です。

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この本は電書(電子な書籍)について語り倒した今年5月の2時間に渡る会話記録+おまけコラムで構成されています。語っているのは今井孝治さん、勝田俊弘さん、古田アダム有さんとぼく。ぼく以外の3人はみな「印刷」の世界に関わっている方々です。

電書のメリットについて語るとき、よく印刷する必要がなく、倉庫もトラックでの物流もいらないからコストが小さくなるといわれます。ということは印刷に関わる彼らは電書の普及で仕事を減らす、ということになっちゃいます。
「いや違う」という意見もあります。
日本語の文章には、他の言語にはない複雑で面倒なルールがたくさんあります。ルビの付け方、文字間のバランス、どれも微妙な調整をしたうえで「読みやすい」ものに仕上げてきたのです。こういう工程を「組版」というのですが、彼らはこの分野を担ってきた歴史があるのです。日本語の電書を誰にとっても読みやすい「本」にするためには、このノウハウを見逃す手はありまえん。(ぼく個人としては、印刷業界が持つノウハウが電書に生かされることをきっかけにして、日本語のWEB全体の組版が向上したらいいなあ、と思っています。これは予想というより希望ですね。そうなって欲しい)
この本では、そんなぼくらが「電書」について語っています。

もうひとつ、この本にはテーマがあります。3月11日に起こった地震です。 じつはこの鼎談メンバーは11日の夜、都内に集まる予定でした。ところが、あの揺れと停電、交通機関の麻痺で中止になってしまいました。印刷という業種は、大規模な「工業」でもあります。この地震は彼らに、そしてフリーランスのライターであるぼくにも、それなりのダメージを与えました。そのことについても語っています。

いまでも不思議だなと思うのは、3月から4月にかけてぼくらをおおっていた「電書どころじゃないね」という気分が、どこかの段階で「いや、いまだからこそ話そう。やろう」という確信に変ったことです。あれはなんだったんだろう。
その変化は奇妙なくらい前向きで、力強いものでした。その結果、鼎談を毎回USTREAMで配信し、内容をぼくが文字おこし&構成して、手分けして電書・冊子化するという流れが生まれたのです。

あ、あと、おまけコラムについて。これは鼎談メンバーである古田アダム有さんが、アメリカのIT企業をまわった時のルポです。もともとは有さんのブログに掲載されたものですが、おもしろかったので、再録させていただきました。

もし「読んでみようかな」とご興味を持ってくださった方は、
iPhone/iPadの無料アプリ「みんなの本屋さん」から、購入できます。
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要領は、昨日のエントリーでご紹介した「タウンライツ」と同じです。
アプリ(無料)をインストール後、
アプリ内のアドオンで無料で試し読み、気に入っていただけたら購入という感じです。

なお湘南電書鼎談では、活動を通じて生まれるコンテンツをいろんな形式の電書・冊子にしています。
こちら(湘南電書鼎談の刊行物)に書いてあるとおり、
この「第一回湘南電書鼎談」も1つのコンテンツが電書だけでもPDF、EPUB、アプリとあって、もちろんPOD(プリントオンデマンド)印刷の冊子にもなっています。
これからの本は、多彩な読み方がされていくのだと思います。ぼくらにどんなことができるのかまだ分からないけど、いまできることはアレコレ試してみようという、これもその一環です。

もしよろしかったら湘南電書鼎談の今後の活動にも注目してやってください。
あ、もちろん、アプリも冊子も買っていただけたらうれしいです。
(複数の形式で購入すれば、
 「読み味」を比較するなんていうマニアックなこともできちゃいますよ)

「第1回湘南電書鼎談」目次

 ・はじめに
 ・3月11日の震災と印刷
  津波と液状化、そして火災が印刷を襲った
  輪転機は急に止まれない、ホットメルトはメルトできない
  電子書籍のマネタイズ
  ウェブは無料の世界、電子書籍は?
  データにお金を払う文化
  バリアブル型の電子書籍
 ・出版の現状とこれまでの電子書籍・ガラケー
  紙にインキで印刷された本をめぐる出版の現状
  日本が”電子書籍先進国”だったころ
 ・印刷業者にとっての電子書籍
  これまでの組版を知る者が感じる「こりゃダメだ」感
  印刷業者と電子書籍
  POD(プリントオンデマンド)少部数印刷という潮流
 ・これまでのこと・これからのこと>
  出版のリスクと電書のリスク
  ウェブをつかったマネタイズ
 「東京」という地方
  本の中身に関わる、ということ
 ・追記
 ・おまけコラム「印刷屋アメリカへ行く:IT業界訪問日記」


Posted by tekigi1969 at 2011年10月08日 15:08
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