2011年10月15日

●コンテンツ。好きな言葉じゃないけれど


1、今年になって、少しずつではあるけれど電書(電子書籍)の売上げが振り込まれるようになりました。紙の単行本では何度も印税契約をしたけれど、ほとんどが「売上に応じて」ではなく、初版や重版で「印刷した分」を振り込むスタイルだったんです。しかも重版なんて滅多にないから、たいていは初版時に受け取るだけで終わる。だから、現実的には「原稿料」とあんまり変わらなかったのです。

2、もちろん、単行本が重版になったときはその都度印税が振りこまれます。とはいえ、何十年も売れ続けるロングセラーでも出さなければ、数回くらいまでで終わっちゃう。だから電書になってはじめて、1つの本から何度も印税が入ってくる状態を経験することになりました。金額はまだぜんぜん小さいけども、けっこう感覚は変わる。

3、ちなみに紙の単行本の印税が「売れる前に支払う」スタイルだったのは、「取次」さんという出版社に先にお金を払ってくれる存在があったからです。その代わり、返品された本は、出版社が取次さんから後で買わなくちゃいけない仕組みでした。でも電書には、そういう金融機関的なことをやってくれる存在が(まだ?)いません。

4、だから電書では、誰かがDLして、そのお金が分配されるまで、製作者側に手取りはない。ぼくの場合は、定期的にDL数を報告してもらって、それに応じた金額を振り込んでもらうカタチにしています。たぶん、いまはこのスタイルが一般的だと思う。だから、すごく「印税」っぽい感じになる。

5、でもこれは自分がやった仕事が最終的にいくらになるかを、出版社だけでなく、書き手や描き手、デザイナ手もある程度予測しなくちゃいけないということでもあります。「50万円で受注したから1ヶ月かけて仕上げよう」といった判断もできないから、各自見通しをたてて判断することになる。いまの言葉でいえば「リスクを引き受ける」ってやつですね。

6、「リスク」って言葉は怖いんだけど、このリスクは電書になって突然生まれたわけではたぶんない。いままで出版社にまるごと押し付けていたものが、拡散しただけだと思う。「自分はそんなのいらないから誰か引き受けてよー」という対応もアリかもしれないけど、ぼくはしばらくある程度のリスクを負担してみたい。その方がおもしろいことができるんじゃないかな、という気がするのでした。

7、例えばぼくはいま個人でAppStoreに何冊か本を出してる(著書が2冊、共著が1冊、編集として関わったものが1冊)んだけど、これらはたぶん後日アンドロイドに移植したり、Kindleにも並べるつもりです。海外からも買えるんだから、多言語で読めるような電書もつくりたい。場合によっては、ここから紙の単行本にするものも出したい。そんなことは2年前まで考えたこともなかった。1週間作業して数百円にしかならないこともある。でも楽しいし、数百円で終わらせないようにする道はいくらもある。

8、なんていうか、自分がやってきた商売は「コンテンツビジネスだったのだねえ」と16年目にして、初めて実感しているのかもしれないです。


Posted by tekigi1969 at 2011年10月15日 14:08
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