2012年08月20日

●トルタルをおもにSNSで配信しているワケ


1、トルタルには決まったダウンロードサイトがありません。ダウンロードURLの配布はTwitterとFacebookが中心。あとは執筆者や気にいって下さった方々のBLOG他に貼ってもらっています。「わかりづらい」「どこかの電書プラットフォームと契約して置いたほうがいい」「公式配布サイトをつくったら」とよくいわれるのですが、わりとガンコにSNSにこだわっています。(さいきんカナカナ書房の公式サイト内に電書一覧だけはつくっちゃいましたが。→ここ

2、これにはいちおうの理由があります。ここ数年、ぼくが新しい本やミュージシャンの存在を知るきっかけの8割はSNSでした。信用している誰かが「こんなおもしろいものがあるよ」と書いているから、それを読む。聴く。観る。ほとんどがこのケース。おもしろいニュースや記事がどこにあるのかもTwitterやFacebookで知ります。もちろん漏れている情報もあるんだろうけど、その辺はリアルの知人や雑誌があるから、ネットでの情報収集はSNS(とその連携アプリ)でほとんど足りちゃってるという実感がありました。SNSで流通できるデータはごく小さいんだけど、でもだからこそ、すごく軽快に流れていく。入ってくる。

3、これに対してBLOGやら公式サイトは、大きい分だけ動きが鈍い。記事を書いても、定期的に巡回してくれるひとは限られているし、おそらく数年前より激減している。RSSで熱心に更新情報を集めているひとも多くはなさそう。「ここにこんな記事があるよ」と知らせるツイートがなければ「無人島で開店しているお店」のような状態になっちゃう。

4、というわけで、もし仮にトルタルの公式ダウンロードサイトをつくったとしても「ここにダウンロードサイトがありますよ」と、URLとキャッチコピー的な紹介文を綴ったツイート投稿が欠かせません。これって読者にとっては「ツイートをみる」→「URLをクリックする」→「サイトが開く」→「URLをクリックする」という二度手間になりますよね。だったら、1回のクリックで直接ダウンロードできる方がいいじゃん、と思ったのです。

5、というわけでファイルをDropbox上にアップして、そのダウンロードリンクをbitlyで短縮したURLを配布するというトルタルのスタイルを思いつきました。現在のところ創刊号は3940回、2号は1380回ダウンロードされています。(この数字が多いのか少ないのかはまたの機会に書きたいなと思っております)

6、この配布方法には問題もあります。もっとも大きな問題は、SNSの投稿があっという間に流れてしまうところです。少しでも多くの方に知っていただくためには、何度も何度も投稿しなければいけません。これはすごくめんどくさい。じつは、ぼくが「電子書籍」ではなく「電子雑誌」をつくってみたかった理由のひとつが、このめんどくささの軽減にあります。

7、2010年末にぼくはiOSアプリ「電子書籍を出してみたよ」という電書を出したのですが、このときある方から「朝トイレでこの本を紹介したツイートを見かけて、Appstoreをクリックして購入して、通勤電車で読みました」という@をもらいました。「すげえ!」というか「読者にとっての電書って、こういうことなのかも!」と思ったのです。生活のなかにあるスマホ1台で、本にまつわるほぼすべてが完結する。ついでに著者にも感想がいえる。それでTwitter宣伝に力を入れようとしたのですが、1人では限界がありました。宣伝ツイートを繰り返していると、だんだんリツイートも反応も薄くなってしまう。紹介文を工夫しようにも限界がある。

8、でも複数のメンバーが関わる「雑誌」なら、この負担を分担することができます。著者・作者の人数も多いし、紹介するときの立場、考え方、フォロアーさんもマチマチだからバリエーションも豊富にできる。SNSを活用しやすくなるんじゃないか、と思ったのでした。それで編集部もFacebook内につくって、実際に会う打ち合わせも最小限にしました。(←これはあんまり関係なかったかも、と今ちょっと思ってます)

9、実際にやってみた結果は想像以上だったと思います。画像や写真、音楽、動画、ウェブ等の作り手が関わるとSNSの使い道は飛躍的に広がるんだなあ、と思い知りました。1冊の雑誌の存在を知らせるためのツイートが、何十種類もつくれるのです。きちんと統計やらレポートやらで効果を検証したわけじゃないけれど、1人でやるよりも「あの無人島にはどうやらお店があるらしいよ」と知ってもらう確率は高まったはずだと思っています。

10、とはいえ、このやり方が正しいか、今後もこれでいいのかはまだよく分かりません。「自分の関わっていることを宣伝するツイート」は発信する側にも、それなりにためらいがあるし、TLにこういうツイートが並ぶのを嫌う方もおられます。1号、2号、別冊と増えていけば「トルタルとかコトルタルとか、なんだか分からないツイートばかりでウゼエ」と思われてしまうケースもあるかもしれない。(もしそう思われている方いましたら、ごめんなさい)その辺は、これからあれこれ試してみながら考えてみようと思っています。

11、以上ざっと勢いで書いちゃいましたが、そんな感じでこういう配信方法を選んでいるわけです。圧倒的に人気のあるプラットフォームがたった1つだけある、という状況になれば話は違うのかもしれません。でも、そうなったとしても、やっぱり「膨大な本のなかから、こちらを見つけてもらう方法」は必要になるのかな、とも思っています。ともあれ、何かのご参考になれば幸いです。

<電子雑誌トルタル2号はこちら(無料)>
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ダウンロードURL→トルタル2号
EPUB3読み方ガイド→「トルタルの読み方」




Posted by tekigi1969 at 16:39 | Comments [1] | Trackbacks [0]

●最近関わった本


1、7月末に出たこちらの本、半分ほど取材・執筆のお手伝いをしました。ぼくは17ヶ所くらい行ったんだけど、こうした施設での研究成果が日常生活に浸透するのには早くても30年くらいかかるのだとか。だから研究所の今を知ることは「30年後の未来」を想像することでもあるのかなあ、と思いました。そうそう、写真もカッコイイですよ。
 
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 ちなみにこの本は2月末に出た「TOKYO図書館紀行」の続編です。
 

2、5月に出た「大人の科学マガジン デルタ・ツイスター」でも数ページ、原稿書いてます。キャパシタと超小型モータについてお話を聞いて来ました。


3、順番がおかしくなっちゃったけど7月発売のこちらの新書も少しだけ執筆協力をさせていただきました。
 

4、以上ご興味ありましたら、適宜よろしくお願いいたします。

<古田が編集長をしている無料の電子雑誌トルタル2号はこちら(無料)>
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ダウンロードURL→トルタル2号
EPUB3読み方ガイド→「トルタルの読み方」




Posted by tekigi1969 at 16:17 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2012年08月19日

●トルタルが無料になっているワケ


1、今年4月に創刊した電子雑誌トルタル。無料で配布しているのには、いくつか理由があります。1つめのワケは、できるだけ多くのひとに届けたかったから。ほとんどのひとにとって電書(電子書籍)はまだ馴染みのないものだと思うので、手にとってもらうまでに障壁を最小限にしたかった。EPUB3というフォーマットにしたのも同じ理由です。これならiPhone、iPadユーザーだけでなくパソコン、Android端末他を持っているひとにも読んでもらえる。これがもっとも大きな理由。

2、2つめのワケは電書の配信方法です。有料の電子コンテンツを配信できるサイトはいくつかあるけれど、多くのひとにとって、どれもあまり馴染みのないモノばかりです。少なくとも、2012年8月現在はそうだと思う。ぼく個人の経験でいえば、これまでいろいろなサイトで電書を販売して来たなかで、そこそこ売り上げが出ているのはAppStoreだけです。書店アプリはイマイチで、単独のブックアプリにするとダウンロードがのびます。たぶん見つけやすくて、購入時の手間も少ないせいでしょう。でも、これだとiPhone、iPadユーザーしか読めない。それと、Apple的には「本はiBookStoreで売って欲しい」という意向があるらしく、昨年くらいから単体のブックアプリをAppstoreではほとんど受け付けてくれなくなりました。(それなのに、ああそれなのに、iBookStoreはまだ日本語に対応してないのです)無料にしてしまえば、こういう販売サイトのルールや意向から自由でいられます。
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<補足>ちょっと2に補足をすると、AppStore以外でももちろん電書販売はできます。でも何故か少ししか売れない。出版は楽でも、購入がめんどいからだと思います。生まれて初めて電書サイトを開いた方がクレジットカードとかpaypalの登録をするのは、「1冊の本のために個人情報を登録する」ということになっちゃいます。これは敬遠しちゃうでしょう。ぼくも買いません。ちなみに「楽天kobo」「Amazon Kindle」が期待されている理由のひとつが、これです。この2つのサイトはすごく多くのひとが登録済みで、ある程度信頼も得ているので、AppStoreと同等、もしくはそれ以上買ってもらえるんじゃないかと見られているわけです。

3、3つめのワケはEPUB3というフォーマットにあります。このデータ形式は全世界共通のオープンなものなので、今後、電子書籍のスタンダードになるだろうと考えられています。動画も入れられるし、javascriptも動く。ほとんどのデバイスにEPUB3を読める無料リーダがあるので、トルタルでもこの形式をつかうことにしました。でも、たぶんまだほとんどの方が「EPUBって何?自分のパソコンでも読めるの?難しくないの?」という感じだったろうと思います。ホントに読めるかどうか自信が持てない本にお金なんて払えないですよね。というわけで、無料にしました。「オレのパソコン・スマホはEPUBが読める」ということを確認してもらうことが先決だと判断したのです。

4、4つめのワケは3の裏返しです。ほとんどのデバイスで読めるということは、電書の製作者にとっては「1つのページがバラバラな大きさで表示される」ということでもあります。ページの大きさは、デバイスの種類の数だけ存在する。しかも、スマホとかだと、縦でも横でも読めたりするし、フォントの種類・大きさもリーダーやユーザーの設定次第。文字を囲んだきれいな枠線が、どこで切れるかを制作時にコントロールすることができない。(このへんのことを「リフロー型」といいます)こんな「本」は、まだぼくはつくったことがありませんでした。WEBデザインに近いんだけど、ページめくりをするところは本に似ている。だからWEBデザイナーにも分からないところがある。それなのにデバイスもリーダーも、続々と新しいものが出まくっていて、状況はさらに複雑になっていく。わお、どうしよう。でもやってみたい。いつか必要になる気もするし。というような状態だったので、EPUB3電書の作り方を構築する練習も兼ねてつくっちまおうと、無料にしました。

5、今年の1月にトルタルを無料にしよう考えたのは、だいたいこんな理由からです。何かの参考になるかなと思ってつらつら書いてみたんだけど、分かりづらかったらすみません。

6、その後だいぶん状況は変わりましたが、もうしばらくトルタル本誌は無料のままがいいかな、と思っています。無料のままでも関わった方々みんなが採算がとれるように工夫できたらいちばんいいのかもしれませんね。(ここ最近はその方法をアレコレ考えてます。ただ広告入れるってだけじゃつまんないもの)

<トルタル2号はこちらです(無料)>
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ダウンロードURL→トルタル2号
EPUB3読み方ガイド→「トルタルの読み方」




Posted by tekigi1969 at 15:18 | Comments [1] | Trackbacks [0]